大分県は日出町にある「的山荘」で食事をした際に二階堂美術館へも足を運んでみました。
日出藩日出(暘谷)城三ノ丸跡に、大正四年、大分県杵築市山香町の「馬上金山」の経営者であった成清博愛翁の別邸として建てられた的山荘。 日本の伝統的木造建築の粋をつくした桟瓦葺近代和風建築で国重要文化財にも指定されています。 そこで[…]
https://nikaidou-bijyutukan.com/
〒879-1505 大分県速見郡日出町川崎837-6
Tel:0977-73-1100
開館時間9:00~17:00(最終入館16:00)
江戸時代から酒造りを営んできた二階堂酒造有限会社の六代目・二階堂暹(あきら)は、若い頃より日本画に親しみと興味を抱き、その伝統を後世に伝えたいとの想いから、昭和56年頃より美術品の収集に乗り出します。
平成に入る頃からは収集の勢いが増し、やがて日本画を中心とした美術館構想が生まれました。
そして平成6年、コレクションを広く一般に公開することで、日本文化の伝統に対する正しい理解を深め、学術及び文化の発展に寄与することを目的として、二階堂美術館が設立されました。
横山大観や川合玉堂、上村松園、郷土出身作家でもある福田平八郎など、近代から現代にいたる日本画の作品を幅広く鑑賞できる、全国的にも数少ない日本画専門の美術館です。
床の間を飾る掛軸を中心とした1000点を超える収蔵品を、企画展や特別展を通して適時紹介しています。(HPより)
日本画に描かれた音の世界
この時開催されていたのはコレクション展2「日本画に描かれた音の世界」。
2階展示室では特集展示として明治の横山大観の作品が数多く展示されていました。
1階
作者 | 作品名 |
横山大観 | 帰路 |
中村大三郎 | 春雨
|
川合玉堂 | 竹林春雨 |
横山大観 | 海邊
|
児玉希望 | 海村雪後 |
鏑木清方 | 磯つたひ |
児玉希望 | 池邊雨餘 |
下村観三 | 曳舟 |
山口蓬春 | 那智の瀧 |
幸野楳嶺 | 渓流群蛍図 |
竹内栖鳳 | 野雀図 |
菱田春草 | 雪後
|
竹内栖鳳 | 山村日長図 |
横山大観 | 遠寺晩鐘(六曲一双)
|
上村松篁 | 桔梗之図 |
山内多門 | 盛夏 |
郷倉千靭 | 梟 |
大西圭斎 | 双鶴之図(右幅)
|
奥村土牛 | 仔犬 |
小村大雲 | 猛乕
|
松岡映丘 | 花の宴 源氏ものかたり |
橋本雅邦 | 臨済一喝図
|
竹内栖鳳 | 寒雀 |
上村松篁 | きりぎりす |
小杉放庵 | 童話瘤取 |
橋本雅邦 | 一團和気図 |
酒井三良子 | 暮雪 |
松本楓湖 | 観月図 |
川合玉堂 | 清流水車 |
横山大観 | 三保之不二山 |
伊東深水 | ささやき |
岩澤重夫 | 故郷 |
2階
冨田渓仙 | 隠者
|
下村観山 | 澤市 |
長野草風 | 小督
|
松本楓湖 | 新羅公足柄山図 |
川合玉堂 | 長閑
|
山口華楊 | 花篝・朧月(双幅) |
平福百穂 | 春耕 |
今村紫紅 | 川霧
|
梶原緋佐子 | 虫の音・秋の想ひ |
小川芋銭 | 満志羅佐計
|
村上華岳 | 天人圖 |
横山大観 | 鴨
|
横山大観 | 月四題(四幅対)
|
横山大観 | 瀧(双幅)
|
横山大観 | 群鴨
|
横山大観 | 名家寄書き
|
本作品は4人の画家による合作で、大観が猫を、菱田春草が龍を、西郷狐月が団扇を、寺崎広業が蝶を描いています。
|
|
横山大観 | 長江の舟(二曲一隻) |
横山大観 | 観音
|
横山大観 | 山路下絵
|
横山大観 | 虞姫(双幅)
|
横山大観 | 魚樵問答(双幅)
|
横山大観 | 楚水・燕山(双幅)
|
前田青邨 | 動物の舞踏会 |
心に残った作品
- 横山大観「鴨」
解説員 明治期の大観は、師岡倉天心の空気や光線を描く方法はないかという示唆のもと、空気や光の表現方法に積極的に取り組み、絵絹を湿らせた後に絵具や隅を滴下し、空刷毛で広げる無線描法をあみだしたり、画面全体を着色する構成など、それまでの日本画にはなかった新しい手法を取り入れていっている。
本作品にもその手法が用いられ、美しい夕焼けの光景が描き出されている。地平線をなくすことにより空間が途切れず、果てしなく広がる夕焼けの空間が趣を感じさせる。ペコ この何とも言えない夕焼けの色と飛ぶ鴨の構成がたまらなく好きです。果てしなく広がる夕焼けの光景がどこか懐かしく心が落ち着きます。 - 奥村土牛「仔犬」
この「仔犬」は撮影NGだった為写真はありません。ペコ Google検索しても私が見たその作品はでてきませんでした。
輪郭をサラッと墨で描いているだけなのに、なんでこんなに鼓動やぬくもりまで伝わってくるのか不思議。甘え声が聞こえてきそうなとても可愛らしい作品でした。 - 中村大三郎「春雨」
解説員 中村大三郎は京都生まれ。歴史風俗や歴史に取材した美人画を描いていたが、次第に現代的な美人画を描く。生涯、美人画を描き続けた。
春雨とは、3月下旬から4月上旬にかけてしとしとと降る細い雨のことで、ちょうど桜の咲く頃に終わることから、「桜散らしの雨」とも言われ、本作品でも舞い散る桜の花びらが描き込まれている。美しい女性の視線の先には桜の木があるのだろうか。僅かな期間にのみ降る春雨、雨が降ることにより舞い散る桜の花びら、傘に当たる雨音。雨による生み出される美はどれも儚く、風情を感じさせる。ペコ ただただ綺麗だなぁと。美しい。 - 竹内栖鳳「野雀図」
この「野雀図」も撮影NG。ペコ 小さな雀が大胆なタッチで描かれているのに生命感が凄い。群れの躍動感もあるのにとても可愛らしい。 - 小川芋銭「満志羅佐計」
解説員 小川芋銭は東京生まれ。洋画を学び、独学で日本画も学ぶ。農業を営みながら作品を描き続け、書や俳諧、老荘思想にも通じた本質的な文人画家であった。
ましら酒とは、サルが山の中できのうろ等に蓄えておいた山ブドウなどの果実が自然に発酵し、できたお酒のこと。木のくぼみに出来たましら酒を口にしたのだろう。無防備な姿でスヤスヤと眠る無垢な猿の顔は酔って赤らみ、その寝息が聞こえてくるかのようである。ペコ 新作だそうです。二階堂酒造だけに酔った猿なのでしょうか。笑。
全体的にぼやけた感じのタッチで、お猿さんの幸せそうなほろ酔い感がとてもよく伝わってきて、なんだか笑っちゃいました。.
上村松篁の「桔梗之図」もそのお花の感じがとても綺麗で今でも鮮明に覚えています。
どれも素晴らしい作品ばかりで、作品を間近に見ることは、心が豊かになるし心が落ち着くと改めて感じました。
また多くの作品に触れていきたいと思います。