以前、福祉用具レンタルの会社に勤めていたことがあります。
実際にお客様と接する業務には就いていませんでしたが、電話でお話しする機会はありました。
「母が入院して退院するのですが、介護ベッドが必要になりました。どうしたら借りることができますか?」
よくこういった電話を受けます。そこで、
「介護認定は受けていますか?」
と聞いても「介護認定ってなんですか?」というパターンが多かったです。
介護ベッドや車いすは急に必要になることが多いので、もしもの為に覚えておくとよいでしょう。
介護保険制度
介護保険制度は40歳以上の国民が納める保険料と税金で運営されており、その運営主体は、市区町村です。
介護保険制度の対象者
65歳以上の方(第1号被保険者)
要介護状態や要支援状態になった場合にサービスが受けられます。
40歳から64歳までの医療保険に加入している方(第2号被保険者)
初老期の認知症、脳血管疾患など老化が原因とされる特定疾病により要介護状態や要支援状態になった場合にサービスが受けられます。
要支援状態:常時の介護までは必要がないが身支度など日常生活に支援が必要な状態
介護保険の利用手続きとサービス内容
①申請書の提出
介護保険制度を利用したい場合、まず市区町村の窓口へ申請書の提出をします。
②1次審査
申請書を提出すると、後日訪問調査が行われ、主治医による意見書の作成や認定調査がありおおよその介護度が決められます。
③2次審査
1次審査に基づき、介護認定審査会による要介護の決定が話し合われ介護度が決定します。
そこで要支援1・要支援2・要介護1・要介護2・要介護3・要介護4・要介護5のどこに該当するかが決定し、地域のケアマネジャーを通じて介護予防プラン(要支援1・要支援2)やケアプラン(要介護1~要介護5)が作成され、様々なサービスを受けることができるようになります。ベッドや車いす等のレンタル(福祉用具貸与)も、その介護度に応じて1割~3割(所得により異なります)の自己負担で受けることができるようになります。
要支援1・要支援2の人が受けられるサービス
要支援1・要支援2の方は地域のケアマネジャーにより介護予防プランが作成され次のような予防給付が受けられます。
・介護予防福祉用具貸与
・特定介護予防福祉用具販売
・介護予防住宅改修
・介護予防訪問介護 etc…
要支援1 | 要支援2 | |
支給限度額 (月額) |
50,320円 | 105,310円 |
ご利用者負担額 (月額) |
5,032円 (1割負担) |
10,531円 (1割負担) |
※自己負担額は所得により1割負担・2割負担・3割負担と異なります。(平成30年8月1日より毎年8月に切り替わります。)
要介護1~要介護5の人が受けられるサービス
要介護1~要介護5の方は地域のケアマネジャーによりケアプランが作成され次のような介護給付(在宅サービス)が受けられます。
・福祉用具貸与
・特定福祉用具販売
・住宅改修
・訪問介護 etc…
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
支給限度額 (月額) |
167,650円 | 197,050円 | 270,480円 | 309,380円 | 362,170円 |
ご利用者負担額 (月額) |
16,765円 (1割負担) |
19,705円 (1割負担) |
27,048円 (1割負担) |
30,938円 (1割負担) |
36,217円 (1割負担) |
※自己負担額は所得により1割負担・2割負担・3割負担と異なります。(平成30年8月1日より毎年8月に切り替わります。)
福祉用具レンタルサービスについて
居宅介護支援事業所や地域包括支援センターのケアマネジャーを通じて福祉用具貸与業者へ依頼をしてもらうと、福祉用具レンタルを開始することができます。レンタル料の1割~3割の個人負担でレンタルができます。介護度に応じレンタルできる種目が異なります。
種目 | 要支援1・2、要介護1 | 要介護2・要介護3 | 要介護4・要介護5 | |
手すり・歩行器・歩行補助杖・スロープ | 〇 | 〇 | 〇 | |
特殊寝台・特殊寝台付属品・車いす・車いす付属品・床ずれ防止用具・体位変換器・移動用リフト・徘徊感知機器 | ×例外あり | 〇 | 〇 | |
自動排泄処理装置 | 尿のみを自動的に吸引する機能のものを除く | ×例外あり | ×例外あり | 〇 |
尿のみを自動的に吸引する機能のもの | 〇 | 〇 | 〇 |
例外給付についてはサービス担当者会議棟を通じた適切なケアマネジメントにより、判断されます。
福祉用具購入サービスについて
特定福祉用具購入
1年間で、10万円以内で購入費の7割~9割の返金を受けることができます。(所得により負担割合は異なります。)
居宅介護支援事業所や地域包括支援センターのケアマネジャーを通じて福祉用具貸与業者へサービス提供の依頼があると、その手続きを福祉用具専門相談員が行います。要支援以上の認定が必要となりますが、要介護区分に関係なく10万円となります。
種目 | 摘要(機能または構造等) |
腰掛便座 | 次のいずれかに該当するものに限る 1.和式便器の上に置いて腰掛式に変換するもの 2.洋式便器の上に置いて高さを補うもの 3.電動式またはスプリング式で便座から立ち上がる際に補助できる機能を有しているもの 4.便座、バケツ等からなり、移動可能である便器(居室において利用可能であるものに限る) |
自動排泄処理装置の交換可能部品 | 尿または便が自動的に吸引されるもので居宅要介護者等またはその介護を行うものが容易に使用できるもの。 |
入浴補助用具 | 座位の保持、浴槽への出入り等の入浴に際しての補助を目的とする用具であって次のいずれかに該当するものに限る 1.入浴用椅子 2.浴槽用手すり 3.浴槽内椅子 4.入浴台(浴槽の縁にかけて利用する台であって、浴槽への出入りの為のもの) 5.浴室内すのこ 6.浴槽内すのこ 7.入浴用介助ベルト |
簡易浴槽 | 空気式または折り畳み式等で容易に移動できるものであって、取水または排水の為の工事を伴わないもの。 |
移動用リフトのつり具の部分 | 身体に適合するもので、移動用リフトに連結可能なもの。(移動用リフトはレンタルできますが、つり具部分は購入となります。) |
住宅改修サービスについて
住宅改修サービス
20万円以内で購入費の7割~9割の返金を受けることができます。(所得により負担割合は異なります。)
居宅介護支援事業所や地域包括支援センターのケアマネジャーを通じて福祉用具貸与業者へサービス提供の依頼があると、その手続きを住宅改修業者が行います。福祉用具貸与業者で住宅改修も行うことが多いです。要支援以上の認定が必要となりますが、要介護区分に関係なく20万円となります。
住宅改修に要した費用が20万円を超えた場合は、その超過分は全額自己負担となります。また、要介護等状態区分が3段階以上上がった場合や(3段階リセット)、転居した場合は(転居リセット)、再度20万円まで利用可能となります。
介護保険が適用される住宅改修の種類
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑り防止及び移動の円滑化などの為の床または通路面の材料の変更
- 引き戸などへの扉の取り替え・引き戸などの新設
- 洋式便器などへの便器の取り替え
- 住宅回数に付帯して必要となる住宅改修